ファブリ・ペロー干渉計、透過ピークを細くしても間隔が広がらない理由

薄紫の半透明の楕円柱二つの間に細い杏色の光が立ち、内部に淡い反映が重なる、繰り返す干渉と狭い透過帯を表す抽象アート

光の周波数を少しずつ変えると、よく通るところと、ほとんど通らないところが繰り返し現れる。ファブリ・ペロー干渉計は、向かい合う二枚の鏡の間で光を何度も往復させ、この透過の変化を利用する光学素子です。鏡の反射率を上げると透過ピークは細くなりますが、隣のピークが遠ざかるわけではありません。光をどれほど細かく選べるかと、どこまで広い範囲を見分けられるかには、別々の尺度が必要です。

簡単にまとめると?

  • 透過ピークの間隔である自由スペクトル領域(FSR)は、光が鏡の間を一往復する時間で決まります。鏡の間隔を変えず、ほかの条件も同じなら、反射率を上げてもFSRは広がりません。
  • 反射率が高いほど、多くの往復を経た光が干渉に加わり、透過ピークは細くなります。FSRをピークの半値全幅で割った比がフィネスです。
  • 鏡の間隔を長くすることでもピークは細くできますが、FSRも狭くなります。細いピークだけを見て、広い周波数範囲を一意に判別できるとは考えないことが大切です。

二枚の鏡を通った光は、一つの経路だけでは届かない

ここでいう鏡は、一部の光を通し、残りを反射する鏡です。一枚目を通過した光の一部は、二枚目もそのまま通り抜けます。別の一部は二枚目で反射され、一枚目との間を一往復してから外へ出ます。さらに二往復、三往復した光も、少しずつ同じ出口へ届きます。

これらは、強さをただ足すだけの光ではありません。光の波としての振動の位置、すなわち位相をそろえて足し合わせる必要があります。一往復によって増える位相がちょうど一周期の整数倍なら、各経路から出てくる波が強め合います。これが共鳴し、透過が大きくなる条件です。周波数がそこからずれると、往復回数の多い経路ほど位相のずれが積み重なり、足し合わせた透過光は弱くなります。

反射率を高くすると、何度も往復した光も無視できなくなります。そのため、小さな周波数のずれでも各経路の波がそろいにくくなり、強い透過が得られる範囲が狭まります。「光を閉じ込める鏡なのに、共鳴するとよく通る」という性質も、この干渉から生まれます。同じ反射率の二枚の鏡に損失がない理想条件では、共鳴時の透過率は1になります。現実の鏡の吸収や散乱まで含めて、常に全ての光が通るという意味ではありません。

ピークの間隔は、一往復にかかる時間で決まる

まず、二枚の鏡が平行で、その間は真空、光は鏡に垂直に入る場合を考えます。鏡の間隔をL、光速をcとすると、一往復の時間は2L/cです。周波数をc/(2L)だけ増やすと、この一往復による位相がもう一周期増え、再び強め合う条件になります。したがって、隣り合う透過ピークの周波数差は次のようになります。

FSR = c / (2L)

鏡の間隔が1 cmなら、FSRは約14.99 GHzです。反射率が50%でも90%でも、同じ理想条件ならこの間隔は変わりません。一定の屈折率nを持つ媒質で満たす場合は、垂直入射でc/(2nL)となります。ただし、屈折率や鏡で反射するときの位相が周波数によって変わる場合には、その変化も考慮する必要があります。

ピークの細さを比べるには、半値全幅とフィネスを見る

ピークの最大値の半分になる左右二点の間隔を、半値全幅(FWHM)と呼びます。FSRがピーク同士の間隔なのに対し、FWHMは一つのピークの幅です。そして、フィネス = FSR / FWHMという比を使うと、ピークの間隔に対して、どれほど細い透過帯が得られるかを比較できます。

二枚の鏡の強度反射率を同じRとし、吸収・散乱がなく、反射時の位相が周波数に依存しないとします。このとき、共鳴からの周波数のずれをδνとした透過率は、エアリー関数と呼ばれる式で計算できます。

T(δν) = 1 / {1 + A sin²(πδν / FSR)}
A = 4R / (1 − R)²

Rは波の振幅の反射係数ではなく、光の強度に対する反射率です。上のAもフィネスそのものではなく、透過曲線の形を決める係数です。この式から、鏡の間隔を1 cmに固定した例を計算しました。

  • R = 0.50:FSRは約14.99 GHz、FWHMは約3.45 GHz、フィネスは約4.35。
  • R = 0.90:FSRは同じ約14.99 GHz、FWHMは約0.503 GHz、フィネスは約29.79。
理想的なファブリ・ペロー干渉計の計算図。鏡の間隔1 cmでは、反射率0.50と0.90のピーク間隔はともに14.99 GHz。下段で一つのピークを拡大すると、半値全幅はそれぞれ3.45 GHzと0.503 GHzになる。
エアリー関数から計算した独自図。上段は複数ピーク、下段は共鳴付近の拡大。横軸は共鳴を基準とする周波数差、縦軸は透過率です。橙がR = 0.50、青がR = 0.90。測定データではありません。

反射率を上げると幅は約6.85分の1になりますが、ピーク同士は離れません。高反射率でよく使われるフィネスの近似式はπ√R/(1 − R)です。ただし、今回の数値は近似式ではなく、透過率が半分になる位置をエアリー関数から求めています。反射率が低い場合まで、高反射率の近似をそのまま使わないようにします。

鏡の間隔を長くすると、幅と間隔が一緒に狭くなる

次に反射率を0.90のまま、鏡の間隔だけを1 cmから2 cmへ広げます。光の往復時間が二倍になるため、FSRは約7.49 GHzへ半減します。FWHMも約0.252 GHzへ半減しますが、両者の比であるフィネスは約29.79のままです。

つまり、「反射率を上げてピークを細くする」と「鏡の間隔を長くしてピークを細くする」では、得られる性質が違います。前者は同じFSRの中で透過帯を細くし、後者は透過帯と、繰り返しの間隔を一緒に狭くします。設計値を比べるときは、FWHMだけでなくFSRも並べると、この違いが見えてきます。

細い透過帯でも、どのピークを見ているかは別に確かめる

周期的な透過特性には注意点があります。ある共鳴周波数をよく通すとき、そこからFSRだけ離れた周波数もよく通します。一つの透過ピークを検出しただけでは、複数ある共鳴のどれに対応するかを判別できない場合があります。測定対象の周波数範囲をあらかじめ絞る、別のフィルターを組み合わせるなど、ピークの対応を確かめる方法が必要です。

また、ここまでの幅は理想的な平面波に対する計算です。実際には、鏡の平行度、入射光の角度の広がり、鏡の損失や反射位相の変化、光源自身のスペクトル幅などが観測される形に影響します。計算上のFWHMだけで、どんな光源でもその差の周波数を確実に見分けられると保証することはできません。

ファブリ・ペロー干渉計を見るときは、光が一往復する時間からピークの間隔を考え、各経路の波がそろう範囲からピークの幅を考える。この二つを分けると、反射率と鏡の間隔のどちらを変えるべきか、何を別途確かめるべきかを整理できます。

出典

  • Justin Peatross / Michael Ware, Physics of Light and Optics, 2015 Edition, January 31, 2025 Revision. 第4章4.4–4.6、印刷頁99–104、式4.23–4.26および4.33–4.37。二枚の鏡の透過特性、共鳴条件、自由スペクトル領域、半値全幅とフィネスを参照。本文の数値と図は記載した理想条件で独自に計算。