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  • コンデンサのつなぎ替え、電荷が残ってもエネルギーが減る理由

    コンデンサのつなぎ替え、電荷が残ってもエネルギーが減る理由

    充電したコンデンサを、まだ充電していない同じ容量のコンデンサにつなぐと、電荷が移り、やがて両方の電圧がそろいます。この前後で電荷の収支を数えると合うのに、コンデンサに蓄えられたエネルギーは半分になります。残りはどこへ行ったのでしょうか。間に抵抗を一つ置くと、移り変わる途中まで含めて説明できます。

    簡単にまとめると?

    • 同じ容量のコンデンサを、一方は電圧V、もう一方は0 Vからつなぐと、最終的には両方ともV/2になります。電源は切り離し、外へ電荷が逃げない条件です。
    • 蓄えられるエネルギーは電圧の二乗に比例します。電圧が半分のコンデンサが二つになっても、蓄積エネルギーの合計は最初の半分です。
    • 有限の抵抗を通して電荷を移すモデルでは、残りの半分が抵抗の熱になります。抵抗を小さくすると電流は大きく、移動時間は短くなりますが、熱の総量は減りません。

    電圧がそろうまで、二つのコンデンサの間を電荷が移る

    コンデンサは、二つの電極に正負の電荷を分けて蓄える部品です。静電容量Cが一定なら、片側の電極の電荷Qと、両電極の間の電圧Vには、Q = CVという関係があります。

    ここでは容量CのコンデンサAとBを用意し、Aだけを電圧V₀まで充電します。充電に使った電源は切り離します。AとBの下側の電極を共通の配線につなぎ、上側の電極同士を抵抗Rとスイッチを介してつなぐ回路を考えます。Bの初期電圧は0 Vです。漏れ電流や配線のインダクタンスは無視し、Rは正の有限値とします。

    スイッチを閉じた直後はAのほうが高い電圧なので、抵抗を通ってAからBへ電流が流れます。Aの電圧は下がり、Bの電圧は上がります。十分に時間がたつと電圧差がなくなり、電流が止まります。電源につながっていないので、外から電荷が補充されることもありません。

    二つの上側電極にある電荷の合計は、初めはCV₀です。最後に共通の電圧Vfになれば、その合計はCVf + CVfです。したがって、Vf = V₀/2になります。ここで保存されると数えているのは上側の電極系の電荷です。下側には反対符号の電荷があり、コンデンサ全体が正の電荷だけを持つという意味ではありません。

    電圧が半分になると、エネルギーは一個あたり四分の一になる

    容量Cのコンデンサに蓄えられるエネルギーは、U = CV²/2です。電荷が同じ割合で分かれれば、エネルギーも同じ割合で分かれるわけではありません。電荷を移す途中で電圧そのものが変わり、エネルギーは電圧の二乗で変わるためです。

    例えば、C = 10 μFのコンデンサを二つ使い、Aの初期電圧を10 Vとします。最初の電荷はAが100 μC、Bが0。蓄積エネルギーはAが500 μJ、Bが0です。最後には電圧が両方とも5 Vとなり、電荷はそれぞれ50 μC、エネルギーはそれぞれ125 μJになります。

    電荷の合計は100 μCのままですが、エネルギーの合計は250 μJです。最初の500 μJから250 μJが減っています。「二つに分けただけ」という説明では、このエネルギーの行き先までは分かりません。

    減った分は、流れている途中の電流から計算できる

    AとBの電圧差をΔV = VA − VBとすると、抵抗を流れる電流はI = ΔV/Rです。電荷が少し移るたびに、Aは電圧が下がり、Bは電圧が上がります。同じ容量なので、電圧差は一方だけが変わる場合の二倍の速さで縮まります。この回路の電圧差は、次の式に従います。

    ΔV(t) = V₀ exp(−t/τ)、τ = RC/2

    τは電圧差が初めの約37%になるまでの時間、つまり時定数です。exp(−t/τ)は、時間とともに滑らかに小さくなる指数関数を表します。AとBの電圧は、和がV₀のままで差だけが縮まるので、それぞれV₀{1 + exp(−t/τ)}/2、V₀{1 − exp(−t/τ)}/2となります。

    抵抗が熱に変える電力はI²Rです。この電力を接続から十分に長い時間まで積み上げると、熱の総量はCV₀²/4となり、先ほど減った蓄積エネルギーと一致します。途中の時刻でも、二つのコンデンサの蓄積エネルギーと、それまでに生じた熱を足せば、最初のエネルギーに戻ります。

    容量10マイクロファラドのコンデンサ二つを抵抗でつないだ理想計算。上段ではAの電圧が10ボルトから5ボルトへ、Bが0ボルトから5ボルトへ近づく。下段では蓄積エネルギーが500から250マイクロジュールへ減り、熱が0から250マイクロジュールへ増える。
    回路方程式から計算した独自図。横軸は時間を時定数τで割った値です。上段はAとBの電圧、下段は二つのコンデンサの蓄積エネルギーの合計と、抵抗で生じた熱の累積。下段の二つの値を足すと常に500 μJになります。実測ではありません。

    抵抗を小さくしても、熱の総量が減らない理由

    同じ例でR = 100 Ωなら、τ = 0.5 ms、接続直後の電流は0.10 Aです。R = 1,000 Ωなら、τ = 5 ms、接続直後の電流は0.010 Aになります。抵抗を十分の一にすると、最初の電流は十倍に増え、電圧差が解消する時間は十分の一になります。

    発熱の速さにも違いがあります。接続直後の電力V₀²/Rは、100 Ωなら1 W、1,000 Ωなら0.1 Wです。小さい抵抗では強い発熱が短い時間に集中し、大きい抵抗では弱い発熱が長く続きます。それぞれを時間全体で積み上げると、どちらも250 μJです。

    このため、抵抗を大きくして突入電流を抑えることと、移動に伴うエネルギー損失を減らすことは別の設計課題です。ここで扱った単純なつなぎ方では、抵抗値は主に移る速さを変え、同じ初期状態から同じ最終状態までの熱の総量は変えません。

    「半分」は、今回の初期状態に対応した値

    半分が熱になるのは、同じ容量で、一方だけが充電されている今回の条件です。容量がC₁とC₂、初期電圧がV₁とV₂の場合、同じ極性の電極を有限の抵抗でつないだ後の電圧は、(C₁V₁ + C₂V₂)/(C₁ + C₂)となります。熱になるエネルギーは、{C₁C₂/[2(C₁ + C₂)]}(V₁ − V₂)²です。初めから電圧が等しければ電流は流れず、この損失も生じません。

    また、Rを厳密に0と置くことは、今回の式に0を代入するだけでは扱えません。異なる電圧を持つ理想コンデンサ同士を、抵抗もインダクタンスもない配線で瞬時に同じ電圧へそろえるという仮定が無理を生むためです。現実の高速なつなぎ替えでは、配線のインダクタンス、スイッチの抵抗、コンデンサ内部の損失などが電流波形に影響します。

    電荷の収支から最終電圧を求め、エネルギーの収支から移動中に熱へ変わる量を求める。この順番で考えると、「電荷がなくならない」ことと「蓄えたエネルギーが全部残る」ことを取り違えずに、つなぎ替えの結果を読めます。

    出典

    • OpenStax, University Physics Volume 2, 8.3 Energy Stored in a Capacitor。式8.10の蓄積エネルギーと、電荷・電圧・静電容量の関係を参照。
    • OpenStax, University Physics Volume 2, 10.5 RC Circuits。抵抗と容量の回路方程式、指数関数による過渡応答を参照。本文の二コンデンサ回路、数値例、エネルギー収支と図は、記載した条件から独自に導出・計算。2026年10月26日閲覧。