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  • 単スリット回折、すき間を狭くすると光の帯が広がる理由

    単スリット回折、すき間を狭くすると光の帯が広がる理由

    光を細く通したければ、すき間も狭くすればよい。光を直進する線として描くと、そう考えたくなります。ところが、細長い一つの開口を通った光を十分に遠くで観察すると、開口を狭くした方が中央の明るい帯は広がります。これが単スリット回折で見られる性質です。すき間を通る場所の幅と、通過後の光が広がる角度は、同じものではありません。

    簡単にまとめると?

    • スリットの各位置から来る光は、観察する方向によって位相がずれ、強め合ったり打ち消し合ったりします。最初の暗い位置が中央の帯の幅を決めます。
    • 遠方で観察する理想モデルでは、波長を固定してスリット幅を半分にすると、中央の帯の幅は小さい角度の範囲で約2倍になります。
    • ここで比べる幅は、左右の最初の暗い位置の間隔です。明るさが半分になる位置の間隔とは異なり、光の総量や中心の明るさが同じという意味でもありません。

    一つのすき間の中でも、光は足し合わされる

    スリットとは細長いすき間のことです。ここでは縦に長く、横幅がaのスリットを考えます。波長のそろった光が正面から入り、すき間の幅全体で振幅と位相がそろっている条件にします。位相は、波の山や谷がどのタイミングにあるかを示す量です。

    すき間を通った光を、各位置から広がる小さな波の重ね合わせとして考えます。正面へ向かう光はそろって足され、中央は明るくなります。一方、斜めの方向では、出発する位置によって進む距離に差が生まれます。山と谷が重なる組が増えると、合計した波は弱くなります。[1]

    二つの穴がなくてもこの重ね合わせは起きます。一つの開口の内部に、連続して光が通る場所があるからです。また、縦に長いすき間の横幅を狭くした場合、主に比較する広がりは横方向です。すき間の長さと幅を取り違えると、観察する方向も逆になります。

    最初の暗い位置を、二組の光の打消しで考える

    スリットから十分に遠い位置で、正面に対して角度θの方向を見るとします。スリットの左右の端から来る光の道のりの差は、a sin θになります。この差がちょうど一波長λになる方向が、中央のすぐ隣にある最初の暗い位置です。[1]

    ここで端同士だけを比べると、一波長のずれなので山は山に重なります。それでも暗くなるのは、端の二本だけでなく、すき間全体の光を足すからです。幅を二つに分け、左半分の各位置と、それよりa/2だけ右にある位置を一組にします。各組の道のりの差は半波長です。そろった大きさの波が逆の位相で届くため、組ごとに打ち消し合います。

    最初の暗い方向の条件はsin θ₁ = λ/aです。波長λが同じなら、aを小さくするほど右辺が大きくなり、暗くなる方向は正面から離れます。中央の帯が広がる理由は、狭いすき間では、同じ一波長の道のりの差を作るために、より斜めの方向を見る必要があるためです。

    幅0.10 mmと0.20 mmを、同じ距離で比較する

    独自の比較として、波長550 nmの光を使い、スリットから2.0 m離れたスクリーンを置きます。nmはナノメートルで、550 nmは0.00055 mmです。スリット幅だけを0.10 mmと0.20 mmに変えます。特定の装置を測定した結果ではなく、理想的な開口から計算する例です。

    スクリーンの中央から最初の暗い位置までの距離をy₁とすると、y₁ = L tan θ₁です。Lはスクリーンまでの距離です。左右に同じ位置があるので、中央の帯の幅は2y₁になります。小さい角度ではsin θとtan θをほぼ同じとみなせるため、中央の幅 ≈ 2Lλ/aと計算できます。

    比較する量 幅0.10 mm 幅0.20 mm
    最初の暗い方向θ₁ 約0.315度 約0.158度
    中央から暗い位置までy₁ 約11.0 mm 約5.50 mm
    中央の帯の幅2y₁ 約22.0 mm 約11.0 mm

    開口の横幅は0.10 mmへ半減しているのに、2 m先の中央の帯は約22 mmへ広がります。式に逆三角関数とtanを使って計算しても、表示した桁では同じ値になります。Lを2倍にすればスクリーン上の幅は2倍ですが、広がる角度は変わりません。スクリーンを遠ざけることと、すき間を狭くして角度を広げることも、分けて考えられます。

    単スリットの幅0.10ミリメートルと0.20ミリメートルで回折の強度分布を比べた独自計算図。波長550ナノメートル、スクリーンまで2メートル。中央を各1に正規化し、中央の帯は約22ミリメートルと約11ミリメートル。
    二つのスリット幅で計算した光の強度分布。横軸はどちらも同じ距離尺度で、破線は最初の暗い位置。各条件の中央を1として形を比べているため、絶対的な明るさの比較ではない。QSによる独自計算・作図。

    帯の幅と明るさを、同じグラフから読み違えない

    図の縦軸は、各条件の中央の強度I₀で割ったI/I₀です。強度は、単位面積あたりに届く光のエネルギーの流れに対応します。モデルの分布は、β = πa sin θ/λとして、I/I₀ = (sin β/β)²で計算しました。[2] 中央ではβがゼロになりますが、値はゼロではなく、極限を取って1になります。

    この式を用いると、最初の暗い位置の外側にも小さな明るい帯が現れます。開口全体から来る波が完全には打ち消し合わずに残るためです。中央の帯の端より外に光が全く存在しなくなるわけではありません。中央の帯の幅は、光の全体を囲む幅としても使えません。

    また、二つのグラフの山が同じ高さなのは、中央を各1にそろえたためです。同じ入射照度のもとでスリット幅を変えると、開口を通る光の総量も変わります。今回の図だけから、狭いスリットの方が明るい、あるいは二つの中心が同じ明るさだとは判断できません。光学系を比べるときは、開口幅、広がりの幅、透過する総量を別々に確かめます。

    この比較が使える条件と、使えない読み方

    ここで扱ったのは、長い単スリットを一様に照らし、遠方で見るフラウンホーファー回折のモデルです。今回の値では、幅aを使ったa²/(λL)は約0.009と約0.036で、いずれも1より十分小さい条件を選んでいます。スクリーンを開口へ近づけると、同じ遠方の式だけでは分布を説明できなくなります。光の振幅や位相が開口内で不均一な場合も、図の形はそのまま使えません。

    波長が混ざる光では、色ごとに暗い位置が異なります。円形の穴には別の分布があり、カメラの丸い絞りや望遠鏡の口径へ単スリットの係数をそのまま移すこともできません。実際の画像の鮮明さには、回折だけでなく収差や検出器などの条件も関わります。

    それでも、今回の比較は「開口を細くすれば、その先の光もいつでも細くなる」という読み方を見直す手掛かりになります。どの面で測った幅か、波長と距離は同じか、幅を暗い位置で定義したのかをそろえると、すき間と光の広がりの関係を具体的に判断できます。

    出典