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  • テブナン等価回路、つなぐ相手で出力電圧が下がる理由

    テブナン等価回路、つなぐ相手で出力電圧が下がる理由

    何もつないでいないときは6 Vあった端子が、別の回路をつなぐと5 Vになる。故障でなくても、電流を取り出すと出力電圧が下がることがあります。この変化を考えやすくするのが、複雑な回路を「一つの電圧源と、一つの直列抵抗」に置き換えるテブナン等価回路です。

    大切なのは、どこから見て同じなのかという点です。二つの端子から外へ渡す電圧と電流が同じになるように置き換えます。回路内部の発熱や、すべての部品の状態まで同じになるわけではありません。

    簡単にまとめると?

    • テブナン電圧は、負荷を外した端子の電圧です。電流を取り出すと、等価抵抗に応じた分だけ端子電圧が下がります。
    • 今回の例では、無負荷で6 Vの出力に6 kΩをつなぐと5 Vになります。電圧低下を1%以下に抑えるには、負荷抵抗が等価抵抗の99倍以上必要です。
    • 負荷へ渡す電力を最大にする条件と、電圧をできるだけ保つ条件は異なります。端子の等価性から内部の消費電力は決められません。

    回路を、二つの端子から見る

    ここでは、理想的な直流電源と線形抵抗からなる回路を考えます。線形とは、電圧と電流の関係を一次式で表せることです。外部に接続する相手を負荷と呼び、負荷をつなぐ二端子をAとBに決めます。

    テブナン等価回路の電圧源をVth、その直列抵抗をRthとすると、端子電圧Vと、Aから負荷へ流れ出す電流Iの関係は、V = Vth − RthIです。負荷を外すと電流は0になり、端子電圧はVthに一致します。電流が増えるほど、RthIの電圧降下が大きくなります。[1]

    この抵抗は、回路の中のどこかに同じ値の抵抗器が一個あることを意味しません。選んだ端子から見た電圧と電流の関係を、一つの値で表しています。別の端子を選べば、等価回路も変わります。

    10 Vを分ける回路に、負荷をつなぐと

    10 Vの電源に、2 kΩの抵抗R1と3 kΩの抵抗R2を直列につなぎます。二つの抵抗の間を端子A、電源の負側を端子Bとし、R2の両端から出力を取ります。まだ負荷がなければ、分圧によって出力は10 × 3 ÷ (2 + 3) = 6 Vです。

    上は10V電源、2kΩと3kΩの分圧回路に負荷RLを接続。下は6V電源と1.2kΩの直列抵抗に同じ負荷を接続。端子A-Bの電圧と負荷電流は同じ。
    独自の理想直流回路例。上の回路と下の等価回路は、同じ負荷RLに対して同じ端子電圧・負荷電流を与えます。内部の電源電圧や電力消費は同じではありません。

    負荷をつないだあとの出力をVとすると、R1を流れる電流は(10 − V) / 2000、R2を流れる電流はV / 3000です。単位は電圧がV、抵抗がΩ、電流がAです。R1から来た電流がR2と負荷に分かれるので、(10 − V) / 2000 = V / 3000 + Iとなります。

    この式を整理するとV = 6 − 1200I。したがって、端子A-Bから見たテブナン電圧は6 V、等価抵抗は1.2 kΩです。負荷を変えるたびに元の抵抗の並列接続を解き直さなくても、この二つの値で出力を計算できます。

    「十分に大きい負荷抵抗」を数値で決める

    負荷が抵抗RLなら、I = V / RLです。これを先ほどの式へ入れると、V = 6 × RL / (1200 + RL)となります。RLはΩで代入します。以下はこの理想回路の計算値で、実機の測定値ではありません。

    負荷抵抗RL 出力電圧 無負荷6 Vからの低下
    1.2 kΩ 3.000 V 50.00%
    6 kΩ 5.000 V 16.67%
    12 kΩ 5.455 V 9.09%
    120 kΩ 5.941 V 0.99%

    電圧をほとんど変えずに読み取りたいときは、接続先の入力抵抗を大きくする必要があります。無負荷電圧に対する低下の割合はRth / (Rth + RL)。これを1%以下にする条件は、RL ≥ 99Rthです。この例では118.8 kΩ以上になります。

    「入力抵抗は出力側の抵抗より大きければよい」という判断では、許容誤差が抜け落ちます。10倍でも電圧は約9.09%下がります。比較するときは、まず許せる電圧低下を決め、それに必要な抵抗比を計算すると見通しがよくなります。

    電力を最大にする条件は、電圧を保つ条件と異なる

    同じ6 Vと1.2 kΩの等価回路で、負荷へ渡る電力はV² / RLです。RLを変えたとき、この電力が最大になるのはRL = Rthのときです。今回ならRL = 1.2 kΩ、出力は3 V、負荷電力は7.5 mWになります。[2]

    一方、端子の電圧を無負荷時の6 Vに近づけたいなら、RLを大きくします。このとき負荷電流は小さくなり、無限大の極限では負荷へ渡す電力は0です。「電圧を正確に受け取る」のか、「固定された電源と等価抵抗から負荷へ最大の電力を渡す」のかで、選ぶ条件が変わります。ここでの比較は直流・抵抗負荷に限っています。

    同じ出力でも、内部の消費電力は同じとは限らない

    負荷を外した元の分圧回路には、R1とR2を通って10 V / 5 kΩ = 2 mAが流れています。電源が供給する電力は20 mWで、二つの抵抗で消費されます。しかし、等価回路を無負荷にすると、6 V電源と1.2 kΩの抵抗には電流が流れず、そこでの消費電力は0です。

    どちらも端子電圧は6 Vです。この違いは矛盾ではなく、テブナン等価回路が端子における振る舞いを保存するモデルだからです。[1] 等価回路の負荷電力から、元の回路全体の効率や、個々の抵抗の発熱をそのまま推定することはできません。

    ダイオードなどの非線形な素子や、動作範囲によって電圧と電流の関係が変わる回路には、ここで使った一組の固定値をそのまま当てはめられません。コンデンサやコイルを含む時間変化・交流の問題にも、別の扱いが必要です。二端子・線形・直流という前提を確かめることで、この簡潔なモデルが役立つ範囲を見分けられます。

    出典

    1. MIT OpenCourseWare, 6.01SC Introduction to Electrical Engineering and Computer Science I, Chapter 6: Circuits(Spring 2011)、6.5 Thévenin Equivalents、本文258–261ページ
    2. MIT OpenCourseWare, 6.776 High Speed Communication Circuits, Lecture 4(Spring 2005)、H.-S. Lee / M. H. Perrott、19–20ページ