透明なガラスの内側を進んできた光が、表面で折り返すことがあります。金属の鏡を貼っていなくても、外へ出る方向がなくなるためです。ただし、「ガラスの中だから反射する」とは決まりません。光が向かう先の屈折率と、境界に当たる角度の両方が条件になります。
簡単にまとめると?
- 全反射は、屈折率の大きい媒質から小さい媒質へ向かう光に起こります。
- 境界に垂直な線から測った入射角が臨界角を超えると、外へ進む屈折光がなくなります。
- 同じ入射角でも、外側の屈折率が変われば全反射しなくなる場合があります。光ファイバーのコアとクラッドの組み合わせにも関わる条件です。
角度は、表面ではなく法線から測る
光の進む速さを真空中の速さと比べた量が、屈折率 n です。ここでは、光を吸収しない均一な二つの媒質と、平らで滑らかな境界を考えます。入射側の屈折率を n1、外側を n2 とすると、光の曲がる向きはスネルの法則で決まります。[1]
n1 sin θ1 = n2 sin θ2
θ1 は入射角、θ2 は屈折角です。どちらも、光が境界に当たる点で引いた垂直な線、法線から測ります。表面すれすれに進む光ほど角度は大きくなり、垂直に当たる光の角度は0度です。
n1 が n2 より大きいと、屈折した光は法線から遠ざかります。入射角を大きくしていくと、外側の光はさらに境界へ寝ていきます。
外へ出る方向がなくなる境目が、臨界角
屈折角が90度へ達すると、屈折光の向きは境界に沿う限界になります。このときの入射角が臨界角 θc です。sin 90°=1を代入すると、次の関係が得られます。[2]
sin θc = n2 / n1 (n1 > n2)
さらに入射角を大きくすると、スネルの式は sin θ2 に1より大きな値を要求します。しかし、実際の角度にそのような正弦の値はありません。外側へ伝わる屈折光の方向がなくなり、入ってきた光は入射側へ反射します。これが全反射です。反射角は、全反射の前も後も入射角と等しくなります。
逆に、屈折率の小さい側から大きい側へ進む場合は、この臨界角を持ちません。屈折した光が法線へ近づくため、同じ仕組みで外への道がなくなることはありません。
同じ45度でも、空気側と水側では違う
比較のため、入射側を n1=1.50とした数値例を計算します。外側を空気に相当する1.00とすれば、臨界角は約41.81度です。入射角30度では屈折角が約48.59度となり、光の一部が外へ進みます。入射角45度では臨界角を超え、全反射になります。
今度は、外側だけを水に相当する1.33へ変えます。臨界角は約62.46度へ大きくなり、45度の光は全反射しません。屈折角約52.89度の方向へ出る光が存在します。いずれも固定した屈折率を使う計算例で、実際の材料の値は波長などの条件とともに確かめる必要があります。

この違いから、表面の外側が何に接しているかも、光の閉じ込め方を決める条件だと分かります。「入射角45度」という値だけでは、全反射するかどうかを判定できません。
光ファイバーでは、外側の低い屈折率が役立つ
光ファイバーを光線の図で考えると、中心のコアを、その外側のクラッドより高い屈折率にする意味が見えてきます。コアから境界へ向かう光のうち、臨界角を超える向きの光はコア側へ戻されます。外側にも透明な材料があってよく、空気との境界であることは必須ではありません。[2]
ただし、この図だけで細いファイバーの伝搬状態や損失のすべては決まりません。波として見ると、全反射のときにも外側には境界から離れるほど指数関数的に弱まるエバネッセント場があります。外へ進み続ける屈折光がないことと、境界の外の場が完全にゼロであることは違います。[3]
材料の組み合わせを比べるときは、まず使用する波長での屈折率をそろえ、次に法線からの入射角を臨界角と比べます。そのうえで、実物の吸収や表面の散乱などを別に評価します。全反射の条件を満たすことは、装置全体の損失がゼロになるという約束ではありません。
出典
- OpenStax, Samuel J. Ling, Jeff Sanny, William Moebs, University Physics Volume 3, 1.3 Refraction。スネルの法則と角度の定義。2016年刊、2026年10月25日閲覧。
- OpenStax, University Physics Volume 3, 1.4 Total Internal Reflection。臨界角の条件、図1.14、コアとクラッドの説明。2026年10月25日閲覧。
- MIT OpenCourseWare, 18.303 Linear Partial Differential Equations: Analysis and Numerics, Lecture 30(Fall 2014)。1ページ、境界の位相条件と全反射に伴う減衰場。2026年10月25日閲覧。
