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OCP APAC 2026 | メモリーエラーが出ても、原因はDIMMとは限らない

淡青の板上の小さな印へ、離れた形の影が重なる抽象画

サーバーに「メモリーエラー」と表示されると、DIMMを交換したくなります。でも、その表示が教えてくれるのは、まずメモリーを通る処理で異常が見えたということです。原因までDIMMにあると決まったわけではありません。

2026年8月のOCP APAC Summitで、EverpureのMeeta Saggi氏は、メモリーエラーを装置全体の状態を知る手がかりとして読む方法を示しました。エラーが記録された場所と、壊れた場所を分けて考える。単純ですが、不要な交換を避け、原因に合った対応を選ぶための大切な一歩です。[1・2]

エラーを報告した場所と、原因の場所

DIMMは、サーバーで使うメモリーモジュールです。訂正できたエラーはCE(Correctable Error)、訂正できなかったエラーはUE(Uncorrectable Error)として記録されます。これらは対処の重要な信号ですが、件数だけでDIMMの故障を確定できません。[2]

信号はCPUのメモリーコントローラー、パッケージ内の接続、基板上の配線やコネクター、DIMMのスロットを通ります。また、PCIe機器で生じたpoison(不正なデータ)がDMA経由でシステムメモリーに伝わり、後から観測される例もあります。見えているエラーを追うには、この経路全体を候補として残す必要があります。もちろん、DIMM自体が故障している場合もあります。[2]

エラーの回数だけでは、原因を絞れない

発表資料は、訂正可能エラーが多い場面でも、弱いメモリーセル、信号線の異常、接続部の不安定さなど、異なる原因を考えられると示します。同じ件数でも、起きた場所や時間の並び方が違えば、必要な点検も変わります。資料の故障割合を描いた図は説明用と明記され、実測の発生率ではありません。[2]

具体例には、DQデータ線の異常、BIOS/RASの設定不備でシステム管理モード(SMM)の処理負荷が増えて遅延が大きくなるケース、PCIe機器から伝わった不正なデータがメモリー上で観測されるケースが挙げられます。これらは「DIMMを替えれば直る」と早合点しないための診断例であり、どの機器でも同じ原因の割合で起きるという統計ではありません。[2]

記録、分析、対応を別の段階にする

発表では、OCPのHardware Fault ManagementとRAS APIの枠組みを使い、流れを四つに分けます。まずCPU、メモリー、周辺機器がエラーを報告し、収集側が履歴を残す。分析器は新しい記録だけでなく、同じ報告元の過去の記録も合わせて見て、考えられる故障と対応を提案する。最後に、運用側のポリシーがその提案を受け入れるか決めます。[2・3]

共通のエラー記録はCPER(Common Platform Error Record)、提案する対応を表す記述子はCPAD(Common Platform Action Descriptor)です。CPADは「自動的にDIMMを交換せよ」という命令ではありません。資料の図でも、分析器の出した提案をポリシー層が検証してから、部品交換、修復、設定変更などの対応につなげます。[2・3]

共通の記録形式があっても、診断は続く

OCPが公開したRAS API v0.9は、CPERとCPADを扱うためのインターフェースやデータ構造を示す中間版です。通信に使う下位の仕組みを一つに固定せず、部品ごとの実装や分析方法に余地を残しています。この仕様があることと、すべてのサーバーで高精度な原因推定が実現済みであることは別です。[3]

メモリーエラーを見たら、まずCE/UEの種類、発生箇所、時刻、繰り返し方を確認し、ほかの機器や設定の記録と合わせて見る。DIMMは重要な候補の一つとして残しながら、交換だけを最初の答えにしない。発表が伝えるのは、メモリーを「犯人」ではなく、原因を探すための信号源として使う考え方です。[2]

Everpure(旧Pure Storage)の事業や収益の仕組みは、cyclewaveの企業解説にまとめています。

参考資料

2026年9月24日確認。本文は公開スライドとOCPのRAS API文書を照合しています。発表動画の発言・質疑は確認対象に含めていません。

[1]Open Compute Project「2026 OCP APAC Summit」発表一覧。演題、登壇者、資料掲載。

[2]Meeta Saggi「Memory Errors as System Signals – Don’t shoot the messenger」公式掲載スライド。全13頁。原因候補と説明用の割合図はpp.4–7、CPER/CPADの流れはpp.8–9。

[3]Open Compute Project「RAS API Specification Version 0.9」。2025年12月の中間版。対象範囲はpp.8–10、CPER/CPADの構造はpp.16–23。

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