液冷設備を選ぶとき、まず気になるのは「何kWの熱を扱えるか」でしょう。ただ、データセンターで長く使うには、冷却能力と同じくらい、ポンプを確かめる方法や部品を取り外すための空間も大切になります。
GoogleのEdward Kung氏が紹介したProject Deschutesは、2MWの熱負荷を仕様表に掲げる液冷用CDUです。2026年2月公開のv1.0では、機械図面や寸法に加え、駆動装置と膨張タンクの整備性、ポンプの信頼性試験が整理されています。冷やせる設備を、保守しながら使い続けられる設備へ近づける設計です。[1]
2MWのCDUを、流量と圧力から読む
CDU(Coolant Distribution Unit)は、サーバー側と施設側の冷却回路の間に置かれ、熱交換や冷却液の循環を担う装置です。Deschutesの構成図には、2台のポンプと3台の熱交換器、フィルター、膨張タンクなどが示されています。サーバー側の液をただ冷たくするのではなく、必要な流れをつくる部品が一つにまとまっています。[1]
仕様表の熱負荷は2,000kW、IT側と施設側の流量はそれぞれ500GPM、アプローチ温度は3°Cです。GPMは1分あたりのガロン数を表す流量の単位。アプローチ温度は熱交換する二つの回路の温度差を見る指標です。これらはDeschutesの仕様値であり、配管条件や流量が変わっても常に2MWを処理できるという意味ではありません。[1]
その違いが見えるのが、流量に対する圧力のグラフです。ポンプの回転条件ごとに曲線が分かれ、流量が増えると確保できる圧力も変わります。ラックや配管で生じる圧力損失と、CDUから供給できる流量・圧力を合わせて見る必要があります。熱交換側の表も、一次側と二次側の流量を分けて評価しています。[1]
交換作業に必要な空間も、設計に含める
今回の更新では、VFD(可変周波数駆動装置)の取り外しが具体的に描かれています。VFDはモーターの回転を制御する装置です。資料の整備図には、取り外す方向と36インチの作業空間が示されています。寸法上はCDUを置けても、その前を別の機器がふさいでいれば、この作業は難しくなります。[1]
膨張タンクの図も印象的です。タンクを後方または側方へ振り出せるよう、二つのヒンジ位置を用意しています。タンク単体の収まりだけでなく、設置後にどちら側から手を入れられるかまで考える。こうした整備のしやすさは、冷却能力の数字だけでは見えない部分です。[1]
仕様には、CDUやリアドア熱交換器と組み合わせる「Redmond」のホットアイル・コンテインメントも含まれます。これはラックからの暖かい排気を通路内に区画する構造です。CDUを単独で置く話から、ラック列や通路との取り合いまで視野が広がっています。[1]
1年間の連続試験だけでなく、運転条件の変化も見る
ポンプの試験計画では、入口液温25°Cと55°C、水系冷却液とPG25など、使用条件の幅を扱います。そのうえで、短い起動・減速の繰り返し、二つの運転点の往復、1年間の連続運転という異なる負荷を設けています。[1]
二つの運転点を使う試験では、110psiの条件で250GPMを5分、500GPMを5分とし、これを500サイクル繰り返します。1年間の試験では500GPM・110psiで運転し、電力、回転速度、圧力などを記録。終了後には分解して摩耗や腐食を調べます。これは資料に記載された試験手順で、すべての試験を完了した結果の報告ではありません。[1]
同じ2MW級のCDUでも、接続する設備や整備に使える場所、想定する運転の変動は違います。Deschutesの公開資料からは、能力表を出発点に、配管との適合、交換時の動線、長期試験の条件へと確認を進める流れが見えてきます。
Googleの事業と親会社Alphabetの収益構造は、cyclewaveでまとめています。
参考資料
2026年9月27日確認。
- Google「Project Deschutes Update V1.0」 — 2026 OCP APAC Summit公開スライド。仕様p.5、構成p.6、性能p.8–9、整備p.10–12、試験p.13–14、公開時期p.15。
- Open Compute Project「2026 OCP APAC Summit」 — 発表者・演題・配布資料の掲載元。

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