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OCP APAC 2026 | HSMR・HAMR・ヘッド無効化、大容量HDDのデータ整合性と性能を検証する

細かな同心円を持つ淡青の薄い円盤が重なり、小さな三日月形の片だけが離れた抽象作品。記録密度と、使える部分を残すHDDの仕組みを表すイメージ。

HDDの容量が増えると、同じ設置スペースに多くのデータを置けます。その一方で、全領域に書き込み、読み出して確かめる時間も長くなります。新しい記録方式を使いこなすには、容量だけでなく、導入前の検証にも目を向ける必要があります。

GoogleのJim Hsu氏とJerome Tzeng氏の資料は、HSMR、HAMR、Head Depopulationという三つの技術を取り上げ、検証項目と時間のかかる工程を整理しています。容量を増やす方法と、故障した一部を切り離して使い続ける方法。それぞれに、確かめるべきことが違います。[1]

三つの技術は、HDDのどこを変えるのか

HSMR(Hybrid Shingled Magnetic Recording)は、従来型磁気記録のCMR領域と、トラックの一部を重ねて記録するSMR領域を、一台のドライブ内で組み合わせる方式です。資料では、領域の割り当てを変え、性能と容量のバランスを取る技術として説明されています。[1]

HAMR(熱アシスト磁気記録)は、レーザーと近接場光トランスデューサーを使い、記録媒体のごく小さな部分を一時的に加熱して書き込む技術です。記録密度を高めるための方式であり、CMRとSMRの使い分けとは別の軸です。今回の資料でも、HAMRの検証をCMRモードとSMRモードに分けています。[1]

Head Depopulationは、不具合のあるヘッドを使用対象から外し、残ったヘッドと容量でドライブを使い続けるための仕組みです。容量をそのまま保つ修理ではなく、使える容量が減る代わりに、ドライブ全体を早期に退役させずに済む可能性があります。残った部分が仕事を続けられるかを、別途確かめる必要があります。[1]

HSMRは、領域の切り替えと同時動作を確かめる

HSMRの試験では、コマンドの適合性、CMRからSMRへの変換時のデータ整合性、データ転送を伴わないコマンドの応答時間を確認します。正しい命令に応じるだけでなく、不正な命令を適切に中止できるかも評価対象です。[1]

さらに、CMR領域で通常の処理に相当する負荷を動かしながら、SMR領域では読み書きを継続する構成を示しています。一方の領域だけを測って良好でも、同時に使うと待ち時間が変わるかもしれません。一台の中で二つの領域が共存するときの性能まで見ることが、この検証の要点です。[1]

HAMRは全面の読み書き、ヘッド無効化は前後の比較へ

HAMRのCMRモードでは、初期の状態と性能を記録したうえで、全領域の連続書き込み・読み出し、ランダムアクセス、再度の全面確認へ進みます。データパターンの照合や状態ログの監視を行い、負荷をかけた後の性能と初期値を比較します。SMRモードには、ゾーンの状態を変えて繰り返し確認する工程も含まれます。[1]

Head Depopulationでは、対応コマンドやヘッドなどの状態情報をドライブ単位で調べます。ラック規模の試験では、まず性能の基準値を取り、数十日間の負荷試験を実施。その後にヘッドを無効化し、再び入出力性能と状態ログを確認します。「無効化の命令が成功した」ことと、「残る容量で安定して使える」ことを分けて評価する流れです。[1]

28TBの全面検証に約3日。その時間をどう扱うか

資料は、28TB HDDで全LBAの読み書きに約3日かかる例を挙げています。LBAは論理ブロックアドレスのこと。ホストから見える記憶領域を端から端まで確かめる試験です。HSMRのSMR領域を埋める処理には約2日、ヘッド無効化後の再フォーマットにも時間がかかるとしています。いずれも発表資料の例で、どのHDDでも同じ日数になるわけではありません。[1]

短縮案には、盤面の外周・中間・内周など対象を絞って読む方法、CMR部分を先に評価する順序への変更、台数を増やした並列試験、ファームウェアの最適化があります。ここは改善のアイデアとして示された部分で、一定の短縮率が実証された結果ではありません。[1]

試験の対象を絞れば、全領域を読む場合とは確認できる範囲が変わります。並列化には追加の機器が必要です。容量が増えるほど、何日で終わるかだけでなく、何を確かめた結果として導入するのかが大切になります。三つの技術を同じ容量競争としてまとめず、変わる仕組みに合わせて検証を組み立てる。その視点が、次世代HDDを運用へつなぐ手がかりになります。

Googleの事業と親会社Alphabetの収益構造は、cyclewaveでまとめています。

参考資料

2026年9月27日確認。

  1. Google「The Future of Next-Gen HDD Qualification: HSMR, HAMR, and Head Depopulation」 — 2026 OCP APAC Summit公開スライド。技術の区別p.3–4、HSMR p.5、HAMR p.6–7、ヘッド無効化p.8、性能評価p.9、試験時間と改善案p.10。
  2. Open Compute Project「2026 OCP APAC Summit」 — 発表者・演題・配布資料の掲載元。

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