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OCP APAC 2026 | 液冷バスバーで電力経路を小さくする、流量配分と漏れ対策の設計

淡い青の流れが薄い金属の曲面を包む、液冷バスバーの給電と冷却を重ねた抽象アート。

AIサーバーへ大きな電力を届けるとき、熱くなるのはチップだけではありません。電流を運ぶ経路にも抵抗があり、そこで生じた熱を逃がす必要があります。給電する量が増えるほど、その経路の大きさや重さも、ラック設計の課題になってきます。

MicrosoftがOCP APAC Summitで取り上げたのは、バスバーを液体で冷やす設計です。バスバーは、大きな電流をまとめて運ぶ棒状・板状の導体。空気で冷やすだけでは寸法や気流の制約が厳しくなるため、冷却液を使って電力経路そのものを小さくする考え方です。[1・2]

電源ラックからITラックまで、冷やす場所を分けて考える

資料の構成例では、電源ラックから±400V DC/800V DCの高電圧直流で電力を送り、ITラック側で低電圧直流へ変換します。高電圧側と低電圧側の両方にバスバーがあり、それぞれの場所で冷却方法を選びます。[2]

選択肢は、空冷バスバー(ACBB)と液冷バスバー(LCBB)です。電源ラックとITラックがどちらも空冷なら両側で空冷を使う構成が考えられます。一方だけが液冷なら、その側のバスバーを液冷にする組み合わせも示されています。[2]

つまり、ラックのどこかに液冷を入れたら、給電経路も一律に液冷へ変わるわけではありません。そこで利用できる気流と液冷回路を見ながら、区間ごとに決める設計です。

5,000Aの比較では、重さと占有面積に差が出る

空冷バスバーは、冷却液の配管を持たない単純さが強みです。ただ、大電流に対応するためにヒートシンクや気流を整える板を加えると、重さや占有面積が増え、電源ユニットの保守もしにくくなります。液冷は、こうした空気側の制約を減らす方向に働きます。[2]

資料には、目標電流を両方式とも5,000Aにそろえたシミュレーション比較があります。空冷を1としたとき、液冷は重量が0.68、占有面積が0.67。電流密度は空冷の2倍超とされ、コネクター周囲の温度余裕も、5℃未満から約10℃へ広がる例が示されています。[2]

この数字は、資料中の設計条件を比較したものです。すべてのラックで同じ比率まで小型化できるという意味ではなく、実機の量産運用で得た結果でもありません。それでも、冷却方法を変えることで、導体を太くする以外の設計余地が生まれることは読み取れます。

流れやすくするだけでは、必要な場所へ届かない

液冷バスバーは、ラック内の既存の液冷回路へ組み込む案です。ここで重要になるのが流量配分です。バスバー側の流路抵抗が低すぎると、冷却液がそちらへ多く流れ、同じ回路につながるほかの部品とのバランスが変わります。[2]

流路抵抗は、ある流量を通すためにどれだけの圧力差が必要か、という関係で捉えられます。冷却したい部品ごとに必要な流量が違うため、バスバー単体の流れやすさだけでなく、回路全体の圧力損失と合わせて設計する必要があります。

長い配管には、導入や保守の難しさもあります。資料では、マニホールドからの充填が難しく、専用の治具が必要になる可能性や、途中で分割しにくい配管の洗浄が課題に挙がっています。[2]

冷却の故障を、給電の故障へ広げない

バスバーは、止まればその先へ電力を届けられなくなる部分です。発表では、漏れがラック運転へ直接影響すること、冗長性を持たない構成では単一障害点(SPOF)になり得ることを、主要なリスクとして挙げています。[2]

そのため、冷却性能と並んで、漏れをどこで検知し、検知後に何を保護するかを決めておく必要があります。資料は、接合部を減らすこと、漏れ検知線の配置、既存ラックの漏れ対応への統合や、ファームウェア側の変更も検討項目にしています。[2]

確認する側にも設備が要ります。大電流を流して冷却能力を確かめるには、十分な電源と電子負荷が必要です。形が収まること、計算上は冷えること、実際の負荷で安全に使えることは、別々に確かめなければなりません。[2]

液冷は、チップの外側へ広がっていく

液冷バスバーの狙いは、電流を運ぶ経路を小さくし、ラック内の空間と温度の余裕を取り戻すことです。その代わり、流量配分、充填、清浄度、漏れへの対応までが、配電の設計に加わります。

AIサーバーの高密度化を支えるのは、冷却能力だけではありません。電力を届ける部分と、そこで生まれた熱を運び出す部分を、一緒に成立させること。液冷バスバーは、そのつながりがよく見える設計例です。

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参考資料

2026年9月27日確認。講演の公開スライドをもとに構成しています。

[1]Open Compute Project:2026 OCP APAC Summit 公式セッション一覧

[2]Microsoft:Busbar Cooling Challenges and Emerging Opportunities for Next-Generation AI Platforms(講演スライド)

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