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OCP APAC 2026 | AIチップ同士をつなぐSUE-Tは、何をそろえるのか

淡青の光の線が一か所で枝分かれする抽象画

AIの計算を複数のチップに分けると、それぞれのチップが持つデータを、ほかのチップへ素早く渡す必要があります。この近い距離のやり取りを担うのが、スケールアップの通信です。データセンター全体を結ぶネットワークとは、求めるものが少し違います。

OCP APAC Summit 2026でBroadcomのBhaskar Chinni氏とMehak Mahajan氏が紹介した「SUE-T」は、Ethernetを使うスケールアップ網で、チップやネットワークカードの端に何を持たせるかを検討する取り組みです。新しいケーブルの名前ではありません。チップから出るメモリーの読み書きをどう運び、届いたデータをどう正しく扱うか。そこに焦点があります。[1・2]

同じAIクラスタにも、距離の違う通信がある

発表資料は、計算チップ(xPU)が近くでつながる「スケールアップ」、データセンター内のノードをつなぐ「スケールアウト」、建物やキャンパスをまたぐ「スケールアクロス」を描き分けています。SUE-Tが主に見ているのは、チップ同士がメモリーのデータをやり取りする、最も近い領域です。[2]

資料には、チップ100万個のキャンパスならスケールアップ側だけで14.4Eb/s、といった試算も出てきます。ただし、これは通信量の桁をつかむための仮定を積み重ねた計算です。実際にその規模の施設で測った速度ではありません。数字そのものより、チップ間の通信が、離れたノード間の通信に比べて非常に大きくなりうるという設計上の問題に注目したいところです。[2]

メモリーの操作を、そのまま線に流せるわけではない

計算チップは、別のチップにあるデータを読みたい、書きたいという操作をします。Ethernetを使うなら、その操作の意味を保ちながら、送れる単位であるパケットに収めなければなりません。さらに受け取る側では、届いたものを元の操作として解釈する必要があります。

通常のネットワークで使うRDMAやTCPには、離れた相手とも通信できるための仕組みがあります。一方、発表者は、同一のスケールアップ領域には近い距離・限られた参加者という条件があり、既存方式をそのまま持ち込むと、チップ内の面積や電力を余分に使う可能性があると説明します。既存方式が「使えない」という話ではなく、近い距離の通信に何を残し、何を軽くできるかという問いです。[2]

小さなやり取りを、どう詰めて送るか

端点側の仕事として、資料は「transaction packing」を例に挙げています。チップから出る複数の操作を、宛先ごとのキューに並べ、Ethernetで送るパケットに収める考え方です。一つずつ送れば扱いやすい反面、パケットごとのヘッダーが増えます。まとめすぎれば、送るまで待つ時間が生じます。資料の図は、この両方を見ながら、送れるものからパケットを作るスケジューラーを示しています。[2]

ただし、どの操作でもまとめればよいわけではありません。発表資料は、想定する操作の大きさや上位の方式に応じて、この機能を使い分ける設計を提案しています。どれだけ速くなるかという実測結果は、このスライドには示されていません。

速さだけでなく、順番と確かさも

近くにあるチップ同士なら、通信の順番や再送の方法を、その範囲に合わせて設計できます。資料では、リンク単位の再送や流量制御を持つEthernetの仕組みを「ESUN」と呼び、その上でチップ側が、操作の順番、信頼性、詰め方などを扱う構成を描いています。SUE-Tは、そのチップ側・ネットワークカード側の要件をOCPのワークストリームで検討するものです。[2・3]

ここが大切です。SUE-Tは、2026年9月時点でも端点の要件を検討している取り組みです。前身となるSUEの仕様書は公開されていますが、その名前だけで、すべてのAIサーバーに同じ機能や相互運用が備わるわけではありません。設計を比べるときは、チップが出す操作をどうパケットへ変え、届いた操作の順番と再送をどう扱うかまで見ると、単なるポート速度以上の違いが見えてきます。[3]

発表したBroadcomの事業全体や収益のしくみは、cyclewaveの企業記事で整理しています。

参考資料

2026年9月23日確認。本文は公開スライドとOCPワークストリームの説明に基づきます。講演動画の発言と質疑は確認対象に含めていません。資料中の大規模ネットワークの値は概算モデルです。

[1]Open Compute Project:2026 OCP APAC Summit 発表一覧。Broadcomの「Scale-Up Ethernet Transport (SUE-T)」を掲載。

[2]Bhaskar Chinni / Mehak Mahajan(Broadcom):Scale-Up Ethernet Transport (SUE-T) 発表スライド。全26ページ。主に12〜23ページを参照。

[3]Open Compute Project:Networking / SUE-T ワークストリーム。端点側の検討範囲と作業状況。

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