四端子測定、配線の抵抗を測定値から切り離す仕組み

半透明の薄紫の石に左右から太い珊瑚色の帯がつながり、上から細いミント色の二本が別の光点へ触れる抽象アート

小さな抵抗を測るとき、測定器につないだ線まで測定結果に入り込むことがあります。調べたい部品が0.1 Ωでも、往復の配線に合計0.4 Ωあれば、表示は部品だけの値から大きく離れてしまいます。

四端子測定(四線式、ケルビン接続)は、電流を流す二本と、電圧を測る二本を分ける方法です。線の抵抗をなくすのではなく、電圧を拾う場所と、そこに流れる電流を変えることで、その影響を小さくします。

簡単にまとめると?

  • 二線式では、測定する電圧に部品と往復の配線の電圧降下が含まれます。
  • 四線式は部品の両端から別の線で電圧を取り出します。電圧計へ流れる電流が十分小さければ、その線の電圧降下も小さくなります。
  • 接続位置、電圧計の入力抵抗、測定電流が重要です。四本つなぐだけで、あらゆる誤差が消えるわけではありません。

二本の線には、測りたい電圧以外も現れる

抵抗の測定では、対象に流した電流Iと電圧Vから、R=V/Iを求めます。二線式では電流を流す線を電圧測定にも使うため、測定器の端子で読む電圧には、途中の配線や接触部分で生じる電圧降下も含まれます。[1][2]

ここからは、直流で抵抗値が変化せず、測定電流が正確に10 mA流れる仮想例を考えます。まず電圧計は電流を吸い込まない理想的なものとします。対象を0.1 Ω、左右の配線と接触部分をそれぞれ0.2 Ωとすると、対象の両端は1 mV、各配線は2 mVです。測定器側では合計5 mVを読み、10 mAで割った結果は0.5 Ωになります。

測定器は、与えられた電圧から正しく計算しています。それでも値が大きくなるのは、電圧を測る二点の間に、対象以外の抵抗も入っているためです。

電圧を拾う二点を、対象の両端へ近づける

四線式では、電流用の配線はそのままにして、対象の両端へ電圧測定用の線を追加します。この線はセンス線とも呼ばれます。電圧計の入力抵抗が大きいと、センス線にはごく小さな電流しか流れません。同じ抵抗の線でも、流れる電流が小さければ、そこで失われる電圧も小さくなります。[1]

先ほどの理想例なら、電流用の配線には各2 mVの電圧降下が残ります。しかしセンス線が拾うのは対象の両端の1 mVなので、計算結果は0.1 Ωです。電流源には、対象と電流用配線の両方へ電流を流せるだけの出力電圧が必要です。

対象0.1 Ω、左右の配線各0.2 Ω、電流10 mAの独自計算図。二線式は配線を含む5 mVから0.5 Ω、四線式は対象両端の1 mVから0.1 Ωを得る。理想電圧計を仮定。
同じ対象・同じ電流でも、どの二点の電圧を読むかで結果が変わります。電圧計へ電流が流れない理想条件での独自計算です。

センス線を測定器側で分けただけでは、途中の配線抵抗を除けません。対象の端子まで別々に配線し、どこからどこまでを測りたいのかに合わせて接続点を選びます。基板の配線や接触部がセンス点の内側にあれば、その部分は測定結果に含まれます。

センス線にも、わずかな電流は流れる

実際の電圧計の入力抵抗は有限です。ここでは入力抵抗を10 MΩ、センス線とその接触抵抗を片側0.2 Ωずつとします。対象0.1 Ωへつながる二点の間には、対象そのものと、「センス線二本+電圧計」という二つの並列経路ができます。

電流源から出る総電流をI、対象をR、左右のセンス側抵抗の合計をr、入力抵抗をRinとすると、この単純な回路で表示電圧をIで割った値は次のようになります。

測定値=R × Rin / (R + r + Rin)

数値を入れると約0.099999995 Ωで、0.1 Ωからのずれは約−0.000005%です。センス側へ流れる電流は約0.1 nA。電流用配線の10 mAに比べて非常に小さいため、この例では四線式の近似がよく成り立ちます。

一方、センス側の接触状態が悪く、左右がそれぞれ1 MΩになったと仮定すると、同じ入力抵抗でも測定値は約0.0833 Ω、約16.7%小さくなります。四線式であっても、センス側抵抗が入力抵抗に比べて無視できなければ、電圧を取りこぼします。[1] これらは入力抵抗による負荷だけを計算した例で、実際の測定器の確度や雑音を表す数値ではありません。

測定を選ぶときは、抵抗の比と測る範囲を見る

必要性は、対象の抵抗と、配線が加える抵抗の比で変わります。理想電圧計を使った二線式で、往復の配線が同じ0.4 Ωなら、対象0.1 Ωに対する増加は400%ですが、対象1 kΩなら0.04%です。許容したい誤差と比べることで、配線の影響を無視できるか判断しやすくなります。

小さな電圧を読みやすくしようと測定電流を増やすと、対象で消費する電力も増えます。0.1 Ωに10 mAなら10 µWですが、100 mAでは1 mWです。電流は10倍、電力は100倍になります。対象が温まって抵抗値が変わる場合、その変化は四線式でも測定に現れます。

また、薄膜へ四本の探針を当てて材料の抵抗率を求める場合は、電流が試料内で広がるため、探針の間隔や試料の厚さ・形状が関わります。[1] 部品の両端抵抗をV/Iで読むことと、材料固有の抵抗率へ換算することは別の段階です。

四端子測定を使うときは、まず測りたい区間をセンス点で定め、その外側へ電流を流す接続を置きます。そのうえで、入力抵抗に対してセンス側の抵抗が十分小さいか、必要な電流を流せるか、電流を変えると値も変わらないかを見ていくと、表示された数値が何を含んでいるのかを追いやすくなります。

出典

  1. Graz University of Technology, Semiconductor Laboratory, Four-wire resistance measurements(冒頭の等価回路・入力抵抗の説明、および薄膜の四探針測定。2026年10月25日閲覧、ページの改訂日は不明)。
  2. Wolfgang Ranke, Fritz Haber Institute of the Max Planck Society, T- and p-Measurement(2004年11月5日講義、PDF6ページの四線式測定)。