Quantum Sea

OCP APAC 2026 | AIサーバーを冷やし続けるための液冷設計

白い背景に青みのあるガラスの曲線と柔らかな光が重なる、液体の流れを表した抽象的なイメージ。

AIサーバーを液体で冷やす。そう聞くと、まず気になるのは「どれくらい冷やせるのか」という性能かもしれません。

では、そのサーバーが何台も並び、毎日動き続ける場所ではどうでしょう。冷却液をきちんと行き渡らせるには。部品を交換するときは。そして、どこかに不具合が起きたら。

そんな「使い続ける場面」まで考えると、液冷の見え方が少し変わってきます。

2026年8月に台北で開かれたOCP APAC Summitでは、AVCとnVentが、こうした液冷の設計に関わる発表を行いました。今回は公式動画と資料をたどりながら、冷却液を送り出すCDUと、サーバー側の部品のつながりを見ていきます。[1]

冷やすしくみの間をつなぐ「CDU」

まず押さえておきたいのが、CDUという装置です。正式にはCoolant Distribution Unit。今回の発表では、施設側の冷却設備とサーバー側の冷却回路の間に入り、冷却液の温度や流れを整える役割が紹介されています。[2]

nVentのMing Tien氏が説明するのも、この「間に入る」という役割です。温度や流量、圧力、冷却液の品質を管理しながら、設備とサーバーをつなぐ。さらに、配管や弁を含めた設計によって、不具合が起きたときの影響をどこまでに抑えるかを考えます。CDUだけを見ていたときより、周りの設備との関係が見えてきます。[2]

装置を選ぶときも、冷却能力の数字と一緒に、流路で失われる圧力を補いながら、必要な量の液体を送れるかを確かめます。通信が途切れたり、センサーが故障したりしたときの動きも、あらかじめ考えておく。そのような運転中の備えまで、同氏の資料では取り上げられています。[2]

チップの近くから、液体の通り道をたどる

今度は、サーバーの中へ少し目を移してみます。

発熱する部品に接し、その熱を冷却液へ渡すのが「コールドプレート」です。AVCのFang-chou Lin氏は、この部品の細かな流路と、CDUに求められる条件を説明しました。[3]

細かな流路で熱を受け取る設計には、液体が流れるときに生じる圧力の低下、つまり「圧力損失」との兼ね合いがあります。さらに、粒子が流路をふさがないよう、冷却液の清浄さやフィルターにも気を配る必要があります。チップのすぐそばにある部品の話が、液体を循環させる設備の話につながっていくわけです。[3]

二つの発表を合わせて読むと、コールドプレート、ポンプ、配管、フィルターを一続きで見ることの大切さが伝わってきます。たとえば部品を変えるなら、液体の流れや、メンテナンスの仕方にはどんな影響があるのか。そんなふうに視野を広げると、製品資料から知りたいことも具体的になります。

製品紹介を読むときに、気にしておきたいこと

ここからは、今回の発表をもとにQuantum Seaで整理した読み方です。次に液冷の製品紹介を見るときは、こんな点にも目を向けてみてください。

その性能は、どんな条件で出るのか

同じ冷却能力の数字でも、入口の温度や冷却液の種類、流量が違えば、比較の前提も変わります。数字のそばに書かれた条件まで読むと、使いたい環境に合うかを考えやすくなります。

部品を交換するとき、どこまで止めるのか

ポンプやフィルターを交換するとき、ほかのサーバーは動かし続けられるでしょうか。普段の性能に加えて、手入れや故障対応の場面を想像すると、設備の使い勝手が見えてきます。

変化に気づき、対応するのは誰か

温度や流れに異常が出たとき、設備の担当者とサーバーの担当者は、それぞれ何を確認するのか。冷却液の状態を誰が管理するのか。機器の仕様と一緒に、人の動きも考えておきたいところです。

「冷やせる」の先にある、使い続けるための工夫

たとえば、今ある設備にサーバーラックを追加する場面。冷却装置を増やすほかに、配管を変えたり、保守の手順を見直したりする必要はあるでしょうか。こうした問いが、今回の発表を自分の関心や現場に引き寄せて読む入口になります。

講演だけで個々の製品の使い勝手までは判断できませんが、仕様や導入事例を調べるときの手がかりにはなります。次に液冷の製品紹介を見るときは、冷却能力の数字と一緒に、液体の通り道やメンテナンスの仕方にも目を向けてみてください。そこに、使い続けるための工夫が見つかるかもしれません。

今回登場した2社を、少しだけ

技術を追っていくうちに、つくっている会社にも関心が向いた方へ。今回の2社には、それぞれ次のような事業の広がりがあります。

nVent:電気をつなぎ、機器や設備を保護する製品を手がける企業です。冷却に加え、機器を収める筐体や電力まわりの製品も扱っています。[4]

AVC(奇鋐科技):台湾に本社を置く冷却ソリューションの企業です。冷却部品やファン、システム全体の放熱設計などを手がけています。[5]

参考にした動画・資料

対象は2026年8月11〜12日開催のOCP APAC Summitです。9月21日までに確認した資料のうち、液冷に関する二つの発表を取り上げました。紹介した設計の考え方は各社の発表に基づくもので、OCPの共通規格として紹介するものではありません。

[1]OCP公式開催報告講演・資料一覧

[2]nVent「From Rack to Facility」:講演動画(9月18日公開、10:08・12:04・18:48付近)/ CDU設計のスライド(7・9・12・13ページ)。

[3]AVC:コールドプレートとCDU要件のスライド(5〜7ページ)。

[4]cyclewave:nVentはどんな会社? 電気設備を支える事業と収益のしくみ

[5]AVC公式サイト:会社概要・製品分野(台湾本社、製品分野)。

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