Point2のe-Tube、二つのRF帯域で送る仕組みと遅延の内訳

一本の淡い通路に、周期の異なる二つの青い波が重なる抽象アート

ケーブルの説明に「224Gbps」と「100ps」が並んでいたら、どちらが速さを表すのでしょうか。前者は一定時間に運べる情報量、後者は信号を処理する時間です。さらに、短い回路の遅延だけでは、離れた装置まで信号が届く時間は分かりません。

Point2のe-Tubeは、高周波のRF信号をプラスチック導波路へ通す接続技術です。2026年のOCP APAC講演と、回路の内訳を示す2024年の公式白書を照らし合わせ、帯域を増やす仕組みと、遅延の数字が指す範囲を見ていきます。[1・2]

簡単にまとめると?

  • 2024年白書の構成例は、二つのRF帯域に別々のデータを載せ、1本の導波路で運びます。
  • 回路が信号を処理する時間と、信号がケーブルを進む時間は別です。
  • 比較では「1本あたりの速度」「遅延を測る範囲」「試験した距離」をそろえる必要があります。

1本の導波路へ、二つのデータの流れを載せる

e-Tubeの導波路は、信号の進む道筋を作る部材です。両端の送受信回路で、装置側の電気信号をRF信号へ変え、反対側で電気信号に戻します。空中へ電波を放って装置を探す無線通信とは異なり、決まった通り道で両端を結びます。[1]

白書の図7では、低い周波数帯のLBと、高い周波数帯のHBを使います。それぞれに112Gbpsの入力を載せ、1本の導波路で合計224Gbpsを運ぶ構成です。受信側には二つの系統があり、帯域ごとに信号を取り出します。入口と出口を二系統に分け、途中の導波路を共用しているところが要点です。[2]

Point2の二帯域e-Tube構成。左のLBとHBの112Gbps入力を別々のRF帯域へ変換して中央の1本の導波路へ送り、右の二系統で受信する。
図1 LB・HBの二系統を1本の導波路で運ぶ構成例。Point2 Technology『Where Interconnect Meets AI Innovation』(2024年)p.4、Figure 7より引用。© 2024 Point2 Technology。JPEGからPNGへ形式変換、図の内容は無改変。原寸で図を開く

この図のGbpsは、導波路1本が単位時間あたりに運ぶデータ量(伝送速度)の値です。束ねたケーブル全体の速度や、アプリケーションが使える速度と、そのまま同一にはできません。また、図中のGHzはRF信号の周波数です。周波数の数値と毎秒のビット数を読み分けると、何を増やして容量を広げる設計なのかが追いやすくなります。

回路が速くても、ケーブルを進む時間は残る

2026年の講演資料は、1.6T OSFPの比較図で「Module Latency」を示しています。ここで比べているのはモジュールの遅延であり、離れた装置までの全区間を一つの数字にしたものではありません。[1]

この区別を具体的に示すのが、2024年白書の800Gケーブル構成図です。両端の回路には100ps未満の遅延表示があり、中央の伝送路には約4ns/mの伝搬時間が別に記されています。[2]

例えば、この伝搬時間を使って3m分を計算すると、ケーブルを進む部分だけで約12nsになります。これは白書の係数からの計算例で、装置全体の実測値ではありません。100psは0.1nsですから、小さな回路遅延の値を見て、3m先まで0.1nsで届くと解釈することはできません。

比較する二つの製品で、一方が回路だけ、もう一方がケーブルの伝搬まで含む数字なら、そのまま比べても接続全体の差は分かりません。同じ距離で、どこからどこまでを測った値かを確かめることが先になります。

試した距離と、設計上の到達距離も分ける

白書には、3mの導波路を使った受信波形の評価が掲載されています。一方、最大7mという説明は、送受信ICがその距離の信号損失を見込んで設計されたという記述です。3mで示された波形を、7mで同じ条件の評価を終えた証拠に読み替えることはできません。[2]

2026年の講演では、差し込み式ケーブルだけでなく、半導体の近くに接続部を置く展開も描かれています。ただし、2024年白書の回路例と、その後の構成案は同じ版の製品仕様ではありません。講演末尾も、RF入出力やコネクターの標準・相互運用性を今後整える課題として挙げています。[1]

e-Tubeの数字を比べるときは、まず、速度が1本の導波路・束ねたケーブルのどちらを指すか。次に、遅延に回路と伝搬のどこまでが含まれるか。そして、その距離と構成で何を試したか。この三つを分けると、帯域を増やす工夫と、実際の装置間接続に残る確認事項が見えてきます。

Point2 Technologyの既存製品とe-Tubeの開発段階は、cyclewaveの企業記事で紹介しています。

参考資料

  1. Sean Park(Point2 Technology)「e-Tube RF Transmission over Plastic Waveguides: Optimal Path Beyond Copper for AI Scale Up」OCP APAC Summit 2026、全14頁、主にpp.5–10、14。公式掲載スライド。取得日:2026年10月12日。資料一覧の掲載名とPDF表題は異なります。
  2. Point2 Technology「Where Interconnect Meets AI Innovation」2024年、全9頁、主にpp.3–6、Figures 7、9、11。公式白書。取得日:2026年10月12日。2024年の回路例を、2026年の全構成の性能保証としては扱っていません。